【農地所有的確法人の設立】
(旧:農業生産法人)
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原則として「農地所有適格法人」(旧:農業生産法人)でなければ『農地の権利(所有権や賃借権)』を得ることはできません。
すなわち原則として「農地所有適格法人」(旧:農業生産法人)でなければ『農地法3条許可』を得ることができません。
※特定法人貸付事業制度という例外規定はございます。
☆『農地法3条許可』についてはこちらをご参照くださいませ。→〔農地法.com〕
〔法改正お知らせ〕
平成28年の法改正により、「旧:農業生産法人」から『農地所有適格法人』へと移行されております。
若干、その要件につき、改正がなされております。(やや緩やかになった感がございます。)
※(↓)下に、改正前と改正後(平成28年4月1日施行)との対比表をPDFで掲載しております。(↓)
[農地所有適格法人(旧:農業生産法人)の定義]
「農地所有適格法人(旧:農業生産法人)」とは、主たる事業が農業または農業に関連する事業を行う法人が、『農地の権利(所有権や賃借権)』を取得することが出来る法人、をいいます。
すなわち、『農地法3条許可』と深くかかわってきます。
[農地所有適格法人の種類(旧:農業生産法人)]
「農地所有的確法人(旧:農業生産法人)」には、その種類として、株式譲渡制限のある株式会社・合同会社・合資会社・合名会社そして農事組合法人(2号法人に限ります。)、がございます。
[農地所有的確法人の呼称(旧:農業生産法人)]
上記の説明でもありますように、農事組合法人はともかく、「農地所有適格法人」(「旧:農業生産法人」)といいましても、法的には株式会社であり合同会社でありまして、通常の会社と何ら変わるところはないのであります。
このあたりは「宗教法人」「学校法人」「医療法人」などのようにその名称を聞けばすぐにイメージが思い浮かぶ法人と少し異なる点かと存じます。
しかし、一定の成立要があり、一定の手順を踏んで成立した法人でありますので、一定の地位を確立した法人ということは出来ます。
名刺等への記載にいわば“屋号”的ニュアンスで、「農地所有適格法人」(「旧:農業生産法人」)、をいれて営業活動を行い、一定の成果をあげている例も珍しくありません。
[農地所有的確法人の設立の要件]
「農地所有適格生産法人」の設立については次の4つの要件を満たす必要がございます。
・法人形態についての要件
・事業についての要件
・構成員についての要件
・業務執行役員についての要件
<Ⅰ法人形態についての要件>
法人でなければならずその法人形態は次のいづれかにしなけれればなりません。
①株式譲渡制限のある株式会社
②合同会社
③合資会社
④合名会社
⑤農事組合法人(2号法人に限る)
※農事組合法人の2号法人とは、農業経営を営む法人をさします。(農事組合法人には別に1号法人というのがあり、この1号法人は共同利用施設等の設置を行う法人をさします。)
<Ⅱ事業についての要件>
(説明の都合上、こちらでは農事組合法人のケースを除いて説明をさせていております。)
農業および農業関連事業の売上高合計が1/2以上を占めていることなる必要がございます。
ここでの農業とは、農地を耕作して行う水田・畑作・果樹等の他、養畜や養蜂も含みます。
また、ここでの農業関連事業とは、具体的には、加工・卸・販売などに加えて、資材製造、レストラン・農家民営運営などの事業を含みます。
<Ⅲ構成員についての要件>
構成員とは、会社の出資者(株主)になれる者(すなわちオーナー)のことをいいます。
「農地所有適格法人」(「旧:農業生産法人」)の場合ですと、構成員については次のいづれかである必要がございます。
(a)農地の権利を提供しているもの
(b)その法人の事業に従事するもの(その法人の行う農業および農業関事業に年間150日以上従事していることが必要。)
(c)その法人に農地等を現物出資した農地保有法人
(d)地方公共団体、農業組合法人、農業協同組合連合会
(e)農業法人投資育成法人
(f)産直相手の消費者や農作業の委託者など一定の範囲内で法人の行う
事業と継続的に取引関係にある個人・法人
-こちらの例としては次のような者が挙げられます。
・農産物運送事業者など
・生協・スーパー、産直契約する個人
・農商工連携事業等
※3年以上の取引契約を書類で締結することが必要です。
《議決権の制限》
〔新法(農地所有適格法人)での規定〕
・常時従事者、農地を提供しての個人、地方公共団体、農協などの議
決権が、総議決権の1/2を超えることが必要です。
(次の者も法改正で追加されています。→農地中間管理機構又は農地
利用集積円滑化団体を通じて人に貸し付けている個人)
・加工業者などの関連事業者の場合は、総議決権の1/2未満までは可
能です。
<参考:旧法での規定(農業生産法人)>
・農業関係者が総議決権の3/4以上を占めることが必要です。
・加工業者などの関連事業者の場合は、総議決権の1/2未満までは可能です。
<Ⅳ役員要件>
役員、取締役、業務執行社員、理事などの要件。
〔新法(農地所有的適格法人)での規定〕
次の2つの要件を満たす必要があります。
(a)取締役の過半数が、株主であり、かつ、その法人の農業および農業関連事業の常時従事者(原則として年間1年間150日以上携わっていることが必要)である必要です。
(b)さらに、上記(a)に該当する“役員”又は“重要な使用人(農場長など)”のうち、一人以上が農作業に従事(原則年間60日以上)することが必要です。(こちらは直接農業に従事する方というイメージです。)
<参考:旧法での規定(農業生産法人)>
次の2つの要件を満たす必要があります。
(a)取締役の過半数が、株主であり、かつ、その法人の農業および農業関連事業の常時従事者(原則として年間1年間150日以上携わっていることが必要)である必要です。
(b)さらに、上記(a)に該当する役員の過半数が原則年間60日以上農作業に従事することが必要です。(こちらは直接農業に従事する方というイメージです。)
※(a)の常時従事者というのは、一般企業でいうところの総務経理や営業やマーケティングなどの業務もこの中に含まれます。
[農地法3条の許可]
上記等の要件をクリアして、ひととおりの法人の設立の手続きが終わったら、あとは農業委員会へ農地の権利移転についての許可申請(農地法3条)を行います。
農業委員会にて審議の結果、農地の権利移転について許可がなされると、正式に「農地所有的確法人(旧:農業生産法人)」として認められたこととなります。
[その後の手続き]
毎事業年度終了後に、農業委員会に「事業状況の報告書」を提出する必要がございます。
こちらの報告書は、事業年度終了後3カ月以内に提出することとなっています。
[その後の注意点]
また、「農地所有適格法人(旧:農業生産法人)」としての要件は、農地権利取得後も引き続き満たしておく必要がございます。
農業委員会は、当該要人が要件を満たさなくなるおそれがある時には、その法人に対して必要な措置を取るべきことを「勧告」することができます。
[おおよその流れ]
①行う事業内容などイメージを確定
②候補地となる農地の絞り込み
③営農計画書を作成(次の④の前提となる重要な業務となります。)
④関係自治体や農業委員会との事前協議(事前打ち合わせ協議。)
⑤農地法3条許可(農地移転許可)の原案の策定
⑥農業法人の定款の作成
⑦公証役場にて定款認証(合同会社のケースは定款認証が不要となります。)
⑧法務局にて法人設立登記
⑨農地法3条許可(農地移転許可)の申請
⑩農業委員会への出席(農業算入の旨を説明等)
⑪農地所有権移転の登記
⑫営農の開始
※「スーパーL資金」を希望される方は、この⑫の後ないし⑪の後がベターとは思われます。(理論上では⑧の後すなわち法人設立登記完了後でも可能とは考えられます。)
スーパーL資金は、認定農業者(農業改善計画を作成して市町村長の認定をうけた法人・個人)であることが必要です。